2010年8月12日木曜日

空海の道開く

空海の道開く 高野山←→吉野山 金剛峯寺・金峯山寺、奈良県などと選定へ

8月12日15時58分配信 産経新聞より転載

 弘法大師・空海(774~835年)が高野山・金剛峯寺(こんごうぶじ)(和歌山県高野町)の開山に際して吉野山・金峯山寺(きんぷせんじ)(奈良県吉野町)付近から歩いたとされるルートを調査し、「弘法大師の道」としてよみがえらせるプロジェクトに両寺や奈良県などが9月にも乗り出すことが12日、分かった。高野山開創1200年(平成27年)に向けて研究者も交え足跡の調査、選定を行う。世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の2大霊場を結ぶ新たな巡礼道を目指すプロジェクトで、学術的成果も期待されそうだ。

 平安時代に空海の弟子がまとめた詩文集「性霊(しょうりょう)集」には、空海は少年の日、吉野山から1日南行し、さらに西に2日間歩いて高野山に至ったという記述がある。

 この記録に基づき、高野山・金剛峯寺は開創1200年記念として、2大霊場を結ぶルートの掘り起こしを発案。吉野山・金峯山寺が賛同し、奈良県や地元自治体も協力することになった。すでに準備委員会で検討を重ね、現地の事前調査も行ってきた。

 今後はプロジェクト実行委員会を結成し、本格的なルートの調査、選定を行う予定。ルートは吉野山から奈良県天川村付近を経て西南の高野山へと山中を結ぶ道になりそうで、巡礼道として整備することを目指す。これによって「大峯奥駈(がけ)道」と「熊野参詣道小辺路(こへち)」を結ぶことにもなる。

 金剛峯寺は高野山真言宗の総本山、金峯山寺は金峯山修験本宗の総本山で、いずれも国内を代表する山岳寺院として知られる。

 金剛峯寺の村上保壽・執行は「弘法大師が若いころに奈良にいたことも知っていただきたい」。金峯山寺の田中利典・執行長は「高野山と吉野山が連携する意義は非常に大きい」と話している。